誰かの為のラブソング
「但馬。
お前は何の為にサッカーやってるんだ?
誰の為でもなく、自分の為に
サッカーをしろ、
じゃないと…」
それは全日本中学校サッカー大会(全中)の本選前の出来事だった。
監督の言葉に耳を疑った。
何がいけないんだ?
応援してくれる親や友達、みんなの為に今まで頑張って辛い練習に耐えて結果を出してきた。
期待されればされるほど、闘志が燃え、その期待に応えようと頑張ってきた。
俺が結果を出せば出すほど、
みんなが喜ぶ。
その嬉しがる顔が見たくて今まで頑張ってきたんだ。
その何が悪いんだよ。
俺は今までの全てを否定された気がして、その時の監督の言葉の真意が理解できなかった。
そして、中学2年の全中。
準決勝の試合中に俺は怪我をした。
右下腿三角筋部分断裂、全治6週間。
立つのもやっとで激しい痛みに気がおかしくなりそうだった。