誰かの為のラブソング
朝の澄み切った空気が、空を明るくしている。
とても静かな朝。
その静寂を破るかのように目覚まし時計が鳴り響いた。
「!?」
時計の針は、無情にも8時を差していた。
「えっ!!」
布団を蹴飛ばし、ベットから飛び降りた。
「うそっ!8時っ!?
なんで目覚まし鳴らないのよっ~」
朝のシャワーも浴びないまま、彼女、川嶋莉子(リズ)は制服に着替えた。
髪がまとまらない。
鏡の前で茫然とする。
「……やめた」
こんな日に限って、髪はぐちゃぐちゃ。
どんな寝相してたのか不思議で、全く意味がわからない。
スタンバっていたヘアアイロンの電源を切ると、リズは冷静になった。
「お母さん~遅れていくから学校に電話して~」
母親は呆れた顔でこう言った。
「はいはい。」
リズは溜め息をつくと、シャワーを浴びる為にバスルームに入った。
熱いシャワーを浴びると妙に落ち着く。
いつもの満員電車に乗らなくてもよくなったし…
ま…いっかぁ。
リズはそんなことを考えていた。