誰かの為のラブソング
急に不機嫌になったかと思うと、物凄く低トーンの声で優しくリズをなだめるように囁く先生。
そんな先生の瞳をじっとリズは見つめた。
「…………。」
「ん?どうした?」
男の人が泣いている姿なんか
始めて見た。
お父さんが泣いている所だって、見たことない。
見たことないから
こんなに
胸が痛いんだろうか。
こんなに
悲しみだけが今も残るんだろうか。
「先生……
先生は泣いたこと
あるんですか? 」