誰かの為のラブソング



彼女はとても澄んだ瞳をしていた。


それは濁りのない純真な瞳の色だ。


その瞳は、見た者の心を見透かすような真っ直ぐな力を備えている。

ふいに見つめられると身動き出来なくなる。


でも、時折見せる彼女の表情はどこか悲しみを抱いている。


その澄んだ瞳が濁りを帯びて、深い闇の色に沈んでいくんだ。



手を差し延べることはいけないことだろうか?



彼女の心に踏み込むことは

許されるだろうか?



俺には、彼女が救いを待っているかのようにしか見えないんだ。


バラバラに散らばった彼女の心の破片を集めることは、


俺が傍にいることは、


許されるだろうか…?



















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