誰かの為のラブソング

理久はリズの顔をじっと見つめながらこう言い放った。


「…放っておけないんだ。

だから、やめない」


「…あなたに迷惑掛けれません…
ずっと迷惑かけれませんっ…

だから、もうやめて下さいっ



まだ知り合ってそう経ってもないんだ。

君の何がわかるんだろうな。

何をわかってるんだろうな。


でも、君の痛みだけはわかるんだ。

君の気持ちは痛いほど、わかるんだ。


「…同じなんだ。

俺と同じだから、放っておけないんだ…。」


嫌いになってくれていい。


ただ、君と同じ人間がいるってこと、わかってくれるだけでいいんだ。



「…充分、頑張ってきたんだろ?

もう、いいんだよ…

人のことはどうだっていいんだ…

自分の為にこれから生きていけばいいんだよ…」




人の為に今までただ、がむしゃらに突っ走ってきた。


期待を裏切ることは出来なかった。


裏切ることは嫌われること。


ただ、大好きな人から嫌われたくなかった。


自分を必要としてくれる人を失いたくなかった。


自分の居場所を失いたくなかったんだ。


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