誰かの為のラブソング


「俺…
大怪我してからしばらくサッカーから離れててさ。

実は今日、久しぶりに部活に出るんだ。

正直すげぇ怖いよ。

俺の居場所はもうそこにはないからさ。

でも…好きなんだ。

サッカー死ぬほど好きで、今まで、がむしゃらにやってきて、このまま辞めるのは、どうしても嫌なんだ。

諦められないんだ。

悔しいんだ、今の自分が…。

君だって、そうだろ?」


「……………」


だから、彼女はこんなにも苦しんでいるんだ。

今の自分を変えたいと願っているから、こんなにも苦しんで、もがいているんだ。


「君だけじゃないんだ。

みんないろんなことを抱えているんだ…

ただ口にしないだけで、みんな痛みや苦しみを抱えて生きているんだ。

それでも、前へ進まなきゃ、
駄目なんだよ。

自分の為に前へ進むしかないんだよ」


押し殺すように発する声は自分の心の叫びだった。

彼女に言い聞かせるように発した言葉は、自分自身に向けて放った言葉だった。


「…あたしも…

ずっとこのままなんて嫌ですっ…


変わりたいっ…」


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