誰かの為のラブソング
どこかで聞いた覚えがある
優しいメロディだった。
歌詞が心に響いて、感情が溢れ出すような感覚に襲われていた。
「…久しぶり。
…元気してた?」
気がつくと、駅前の噴水広場は閑散としていた。
ストリートライブは終演を迎え、集まった観客はいつのまにか姿を消していた。
「…何かあった?」
俯くリズを心配してか、ユウは優しく声を掛けた。
「…ううん、
違うの…
凄くいい歌だね… 」
リズは顔を上げると、溢れる涙を静かに拭き取った。
「あ、やっぱり?
この曲さ、この前突然閃いたやつなんだ。
覚えてる?」
「…え?」
「やっぱり忘れてるかー。
ほら、噴水で、どざえもんごっこした時の」
「え!
何か聞いたことあるメロディだって思った…
あの時の?」
「そうそう、
降りてきたんだよ、
いや、マジで」
そう言いながら笑うユウを見て、リズはほっとした。
しばらく会ってなかったせいもあるけど、彼の顔を見てとても安心した自分がそこにいた。
「なーんか、やっぱり、
元気ないなー。」
ユウはリズの顔を覗き込んだ。
「え、そっそんなことないよっほら、笑顔だって」
リズは満面の笑みを浮かべてみる。
「……ぶっ… 変顔…っ」
ユウは、また笑いのツボに入ったのか一人笑い始めた。