誰かの為のラブソング
「もー!
何よっ〜変顔って〜」
「いやいや、マジに〜
笑えるってぇ〜」
ゲラゲラと笑うユウはお腹を抱えている。
「…………」
久しぶりに会ったせいだろうか、ユウは前より少し痩せていた。
ちゃんとご飯食べてるのかな?
リズは笑い転げるユウを眺めていた。
「さーて、行こっか。」
「え?」
「元気ない時はご飯を食べて、
力をつけようー。
ほら、立って」
いつのまにか、立ちがっているユウは、リズに手を差し出した。
「ほら、早く」
リズの目の前にあるユウの手が早く早くと煽っている。
「…………」
リズは無言のまま手を差し出した。
「あらよっと」
ユウはリズの手を握ると、思い切りぐいっと手前に引き寄せた。
その力が強すぎて、リズはユウの胸元に飛び込んだ。
「!!」
リズは突然の出来事に驚いて全く声が出ない。
「ゆ…ユウっ! 」
「あははっ!
すげービックリしすぎだって。
早く行こ。
オレ、腹減っちゃってさー」
「…………」
リズはユウから離れると両手で頬を押さえた。
「ぶっ…変顔の次は、ゆで顔… 」
ゲラゲラとその場で笑うユウはまた腹を抱え込んでいる。
「もー、何よっ〜
ホントにびっくりしたんだからっ…」
両手に触れる頬が異常に熱かった。
「今日は元気ないリズに
ゴチ決定ー
あ、俺、貧乏だから。
期待すんなよー」
ユウは背を向けたまま、大きく背伸びをしながら先を歩く。
ユウの大きな背中。
「なーにやってんだよ、
早く来ないと置いてくぞー」
リズは我に返ると、ユウの後を追った。