誰かの為のラブソング
「で?何にする?」
「…えっ?」
気がつくとリズは音楽が流れる明るい店内にいた。
夜中だというのに、店内は客で埋めつくされていた。
「メニュー、何にする?
店員待ってるし」
ユウに連れられた店は牛丼屋だった。
二人が座るテーブル席の横にはオーダー待ちの店員が立ち尽くしている。
思わず戸惑うリズを見て、ユウは微笑む。
「あ…じゃあ…同じやつを…」
リズはメニューを見る間もなくこう告げた。
「はーい、了解。
今、社員いないから、サービスしとくね、ユウ」
女店員は得意げに微笑むと、オーダーの機械をパタリと閉めた。
「サンキュー、助かる」
「ライブの帰り?
また覗くね」
ユウと親しい様子の女店員は、にっこり微笑むと姿を消した。
「あ、ここ、
俺のバイト先なんだ。
俺が働いてる仕事の中では、
1番時給がいいかな」
「…夜に働いてるの?」
「うん、
ライブがある日だけ休み貰ってるよ」
リズは、相変わらずニコニコと微笑むユウを尻目に、忙しそうに店内を動き回る店員を眺めた。
「ん?どした?」