誰かの為のラブソング


驚いた…。

ユウって自分の外見の良さに気付いてないのかな?

ユウなら言われ慣れてるはずなのに…。

リズは思わず驚いてしまった。

「…何、なんでそんなに驚いてんの?」

「え?あたし、驚いてる?」

「うん。
有り得ないぐらい。」

頬杖をつきながら微笑むユウは、何時しか淡々とした彼に戻っていた。

「…………」

何だか意外すぎて言葉を失ってしまう。

「リズってさ、
すぐ顔に出るタイプだよな」

「えっ?」

「それでいて、
人の話、あんま聞いてないこと多いし」

まるで全てを見透かしているような様子のユウは、突然こう切り出した。

「だいたい、えっ?て言う時は、他のこと考えてる…」

ずる賢い彼の目はリズの思考を完全に止めてしまった。

「そして、今も、そう…。

リズ。

一体何があった?」


「…………」


ユウは…何だかズルい。


一生懸命隠そうとしている自分がバカみたいに思えてくる。

いつもそう。

ユウの前にいたら、ありのままの感情が出てくるんだ。

ユウを目の前にしたら、嘘が付けなくなるんだ。


弱音はもう吐かないと決めたのに。


昔の自分に戻りたくないのに。


ユウは一瞬にして心をいとも簡単に崩してしまう。



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