誰かの為のラブソング
びゅうとグラウンドから強い風が吹き付けた。
沈黙が流れるなか、リズは風になびいたロングヘアを思わず手で押さえた。
「…そりゃまぁ…
俺だって、泣いたりすることもあるけどさ… 」
「それって 何で泣いたの?! 」
リズは身を乗り出すようにして、理久の腕を掴んだ。
「あのなぁ!
お前、男だからといって泣かないわけじゃないんだからさ~
女と一緒でおんなじ人間なんだから、悲しい時とか感動すれば泣く時は泣くっちゅうねん!」
理久は興奮していた。
「…男が人前で泣くなんて、
よっぽどのことがなきゃ泣かねぇよ。」
「…だから、例えば?」
突っ込んで聞いてくるリズに根負けしたのか、理久は仕方なさそうにこう答えた。
「…例えば…
サッカーの試合に負けた時とか。」
「好きな女の子にふられた時とかも?」
リズは理久を見つめながら、少しニヤついた。