誰かの為のラブソング



唄うことでユウは救われている。


今の彼を支えているものは音楽
であって、それでも身を削りながらでも奏でる必要があるということ。




ユウも、抱えている。



まるで底無しの深海の様な深い痛みを。






…だから、ユウは

こんなにもあたしに

優しくしてくれるの…?





わぁぁと歓声がその場に上がった。



集まっているオーディエンス達が、ユウの歌を沢山の拍手で讃えた。



だから、


こんなに人の痛みに敏感なの…?



リズはふと人だかりの中に学生服姿の男子高校生を見つけた。



その彼の姿恰好が理久に似ていて思わず心臓が高鳴った。



「……………」



彼が理久でないことを認識出来るとリズは安心を覚える。


「……………」



あたしは…


理久が怖い…の…?




確かめるようにリズは自分の気持ちに向き合った。




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