誰かの為のラブソング
「莉子(リズ)、朝ご飯は?」
母親は朝のワイドショーから視線を外さないまま、とりあえず聞いてみた。
「~いらない。」
リズは朝ご飯を食べない派。
そして母親は朝のワイドショーをくまなくチェックする派。
こんな母親に朝ご飯を頼むと、見当違いのものが出てきたりする。
例えば、
昨日の晩ご飯の残り。
朝から焼き肉が出てきたりする時もある。
リズはそれが嫌だった。
嫌なものをわざわざ朝から食べるぐらいなら、家では何も食べない方がいい。
朝から、こってりしたものなんか食べれないよ。太るじゃん。
川嶋家の朝はいつもこんな感じだった。
「いってきま~す。」
リズは生返事の母親を置いて、家を出た。
駅のコンビニで何か買おうっと。
リズは独り言を言いながら駅へと向かった。