誰かの為のラブソング

「莉子(リズ)、朝ご飯は?」

母親は朝のワイドショーから視線を外さないまま、とりあえず聞いてみた。

「~いらない。」


リズは朝ご飯を食べない派。

そして母親は朝のワイドショーをくまなくチェックする派。


こんな母親に朝ご飯を頼むと、見当違いのものが出てきたりする。


例えば、
昨日の晩ご飯の残り。


朝から焼き肉が出てきたりする時もある。


リズはそれが嫌だった。
嫌なものをわざわざ朝から食べるぐらいなら、家では何も食べない方がいい。

朝から、こってりしたものなんか食べれないよ。太るじゃん。


川嶋家の朝はいつもこんな感じだった。


「いってきま~す。」

リズは生返事の母親を置いて、家を出た。


駅のコンビニで何か買おうっと。


リズは独り言を言いながら駅へと向かった。


< 3 / 234 >

この作品をシェア

pagetop