誰かの為のラブソング
クオリア

街並みの彩りが変わりつつある夕方、リズは今という時間が大好きだった。


夜のとばりが下りようとするその一瞬の雰囲気が、たまらなく気に入っている。


これからは自由な時間。

やっと本来の自分に戻れるような気がして心が楽になる。


放課後、リズと愛香は駅に向かおうと街中を歩いていた。


いつもはたまらない開放感に気分が高揚するが今のリズは、ぼんやりと親友、愛香の話をただ
聞いているだけだった。


「でね~この前なんか、
ライブ中に後ろからダイブされて、背中は痛いわ、足は思いっきり踏まれるわで最悪でさ~

ヒールで行った私がバカだったぁ~

だいたい男連中なんだよね~
最近ライブマナーが悪すぎぃ。
そのせいでライブ中断するしさ、もうっ最低っ!」


愛香は一人怒りながら、リズの一歩先を足早に歩いている。


相当、腹を立てているようだ。

「それでね~ユキがキレちゃって、客とケンカっぽくなっちゃって~
マジ焦った~」


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