誰かの為のラブソング
確かに愛香に着いて来てもらうなら、心強い。
愛香は初対面の人とでもすぐに打ち解けれる。
リズはなかなか一歩が踏み出せないタイプでもある。
「よしっ行くぞっ!
早く乗って!」
リズが1人で帰る時だけに使っている自転車のサドルに腰掛けた愛香は興奮していた。
「や~ん、楽しみ~!
イケメンだったら、
ど~しよー!
仲良くなっちゃおっかな~!」
1人はしゃいでいた。
愛香の押しにようやくリズは重い腰を上げた。
…愛ちゃんがいるから
ま…いっか。
リズは自転車の後ろに乗った。
「ねぇ~どーするぅ?
マジイケメンだったらぁ~好きになっちゃうかも~!」
乙女のミーハー心は驚異的だ。
自転車は、ぐんぐんと向かい風にも関わらず突き進む。
「愛ちゃん、
なんかその人達、ワケありみたいだから、あんまり期待しない方がいいよー」
「うっそ!?
イケメンのワケありだなんて、チョー魅力的じゃない~?
影のある男って、マジかっこいいんだよね~」
「……………」
愛香はなんでもポジティブ志向のようだ。
「偏見かもしれないけどさ、不登校するぐらいだから、いじめにでもあったんじゃないのかな?」
「リズ!
全くの偏見よー!
イケメン君に失礼でしょー」
「…………。」
言うだけ、無駄かな。
リズはいさぎよく諦めた。