誰かの為のラブソング

「そうなの?
全く興味ないと思ってたのに。」


彼女は何だか嬉しそうにフフと笑った。


「??」


愛香とリズは思わず目を見合わせた。


「Crazy kingdom
(クレイジーキングダム)というライブハウスに行ってみて。」


彼女の開口一番の時は少し不機嫌そうだったが、今は完全に感じが変わっていた。


とても嬉しそうだ。


「そこにいるから。」


愛香はお礼を言うと再び頭を下げた。

リズもつられて丁寧に頭を下げてみた。


「あ、たま~にいない時があるから、その時はバイト行ってるか、女の所に行ってるかだから。」


「はぁ…」


またわからなかったらライブハウスの人間に聞いてみてね。
と彼女は言い残しその場から去っていった。


アイツの行動範囲は極端だから、すぐ見つかるわよ。と付け加えて。


何だか、サングラス越しの視線が痛かった。


見抜かれているような試されていたような、そんな感じがした。




「いいの?
愛ちゃん、嘘なんか言って…。」


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