誰かの為のラブソング
「だいたい他を目指すなら、始めからスーパーコースに入ってるわよ。
意味わかんなくない?」
これといった夢や進路希望がない生徒はこのまま上に上がるのが一番無難な選択だ。
「うん、
そうだよね。」
「但馬はど~するんだろ?
アイツ本気でプロ目指してるみたいだし。」
愛香はチラリと、教室の隅で男子連中と騒いでいる理久を見つめた。
「理久は色々いい話が来るんじゃないかな?
全国大会の常連だし。」
「いいよねぇ~
そういう奴って。
将来決まってるしぃ。
あたしはこれといって
夢とかないしな~」
愛香は愛香なりに
色々悩んでいる様子だ。
これといった夢や希望がないということは、ある意味残酷なことなのかもしれない。
「あ~も~やめた。
考えるのやめた!
まだあたしら2年だし!
まだ時間あるしね!
ねぇ、あの理事長の息子の件だけどさー」
いつも切り替えの早い愛香は、何事もなかったかのように話題を変えると急に生き生きと話始めた。
「でね~今日ライブがあるから、あたしついでに捜してくるね。
聞き込みしたら、見つかるでしょ。
リズはバイト?」