誰かの為のラブソング
また、出会えた。
リズは嬉しかった。
あの彼の涙の痛みは、今の自分の気持ちと似ていたのかもしれない。
流れる歌声は、出口のない闇に差し込む光のようだった。
…あたしは…
変われる…かな…?
「………っ!」
リズは、はっと我に返った。
「…………。」
いつのまにか、冷たいアスファルトの上に腰を下ろしたまま眠っていたようだ。
「…………?」
リズの肩に服が掛けられていた。
誰…の…?
「…目、覚めた?」
暗闇の中、優しい声がする方向にリズは振り返った。
何気なく声を掛けてきたのは
あの彼だった。
リズはこの偶然を、
必然としか
考えられずにいた。