誰かの為のラブソング

開場時刻になり、続々とライブを待ちわびたオーディエンスらが人の流れを作っていく。

ここのライブハウスの定員は300人ぐらいだろうか。


オーディエンスの割合は男性の方が多いのかもしれない。


狭い店内はあっという間に人で埋め尽くされた。


「しかし、ユキが愛香のクラスメートとは。
若いと思ってたけどさ、
まさか高校生だったなんて。」


店内の一番後ろに陣取った彼女らは、3人並んで壁にもたれ掛かっていた。


「あず、なんか
残念そうじゃん?
なんで?」

愛香の隣りにいるあずさは腕を組んだまま、こう続けた。

「ん~
ユキの制服姿が想像出来なくてさ。
あたしらとタメとは思えないじゃん。 」


「想像しなくていいってそんなの」


愛香は苦笑いを浮かべた。

「……イメージの問題
かなぁ~。
ユキは別次元の人間だからね~
高校生って言われても
全くピンと来ないわ。」


どうやら、あずさはRozeeL(ロゼル)のユキが高校生だったという事実が今だに信じられないといった様子だ。


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