誰かの為のラブソング
「ま、いいっか。
別に。」
「そうそ。
プライベートに関わらないのはファンの鉄則じゃん。」
そう言いながら、愛香はあずさの肩にぽんっと手を置いた。
「それよりさ。
ライブ終わってから、どうやってユキに近づこうか考えてるんだけどさ~
どうすればいいと思う?」
「は?
プライベートに関わらないのは鉄則じゃなかったのー?」
呆れたようにあずさはくすっと笑い、リズに同意を求めた。
リズはライブハウスの重圧的な雰囲気に呑まれないようにあずさと一緒に笑った。
なんか…愛ちゃんの
テンションがいつもと違う…。
ただならぬ雰囲気の狭いライブハウス。
愛香も緊張しているのかもしれない。
リズはそう思った。
開演の定刻を過ぎ、オーディエンスの期待感と緊張感は最高潮になっていた。
ざわつくライブハウスは、RozeeL(ロゼル)の登場を今か今かと待ちわびていた。
「今日遅いよね~!」
「うん、待たせすぎだってー!」
愛香とあずさが周りの声に負けじと、声を張り上げ会話を成立させたその時だった。