誰かの為のラブソング
「……………。」
よく聞き取れるように、リズは言葉の一つ一つを噛み締めるようにユキの歌と向き合った。
オーディエンスが怒涛の盛り上がりを見せているなか、歌詞の意味をようやく理解出来たリズは、ただじっと、歌うユキを見つめた。
「――――――。」
ユキの歌うRozeeL(ロゼル)の曲は、
どこか悲しみを
抱えていた。
それを掻き消すように
激しくフレーズを
重ねているだけのように
思えてきて、
仕方がなかった。