誰かの為のラブソング

「上ちゃん~!
このメールの午後練のことなんだけどさっ~
って、うわっ!」


突然、リズの背中に思いっ切りぶつかってきた彼の手から携帯電話がガシャンと床に落ちた。


「ってぇ~!!
あれ?リズっ?」


リズより少し背が高い茶髪の彼は、その場で大声を上げた。


「…痛いよ。理久。」


「悪りぃ悪りぃ~。
前見てなかったわ。
てゆかお前、いいの?
学校に来てさ。
体調悪いなら、さっさと帰って寝ろ~」


床に無残に落ちた携帯を拾い、傷がついていないかチェックしている彼。


但馬 理久
(たじま りく)


リズと同じクラスのサッカー部所属のスポーツ特待生だ。


「もう大丈夫。
だから学校に来てるのっ」


リズは不機嫌になった。
背中が痛い。


「何怒ってんだよ~
感じ悪りぃな~」


というよりか、思いっきりぶつかってくる理久の方が感じ悪い。


「それより、上ちゃん、今さっき来たメールの午後練のことだけどさ~」


この学校では、携帯電話の持ち込みが許可されている。


学校内での連絡事項など全て携帯のメールで行っているのだ。

リズは蚊帳の外。


2人で勝手にサッカーの午後練のことで盛り上がっている。

リズは溜め息をついた。


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