誰かの為のラブソング


「お邪魔しま~す。」

あずさは楽屋らしき部屋のドアを勢いよく開けた。

「……………。」

部屋は意外と広く、奥行きがあり、テーブルを挟みRozeeL(ロゼル)のメンバー4人が陣取っていた。

煌々と照る楽屋は彼らの表情が手に取るようによく見えた。


いた。

今井友喜。


椅子に、もたれ掛かるように座っている彼はチラリと視線をこちらに流した。


「この子。
川嶋莉子って言うんだけど、ユキさんに話があるって。」


しんと静まり返る空気に圧倒されたのか、あずさの声はどことなく冷たさを感じた。


「へぇ~かわいいじゃん。高校生?」


RozeeL(ロゼル)のメンバーの1人がリズをマジマジと見つめた。

「あんまり…見かけたことないかも??」


「こんな可愛い子なら
お前なら、覚えてるわな。」


「うるせ~よ」


と友喜を除くメンバー達は勝手に盛り上がっていた。


< 92 / 234 >

この作品をシェア

pagetop