血の契約
「ちょっと、朝香。何処いくの?」
「生徒会用事」
短く言って、朝香は部屋を出て行ってしまう。
「まったく、生徒会の中でも一番やる気のないくせに…」
ブツクサいっても感想文は終わるわけではない、…ないのだが。
私、仙堂 緋那(せんどう ひな)はペンを放り出し、朝香が戻ってくる前に自分の部屋の窓から逃走をはかることにした。
「よっと…」
これでも体育は、この学校に入学して3年間。ずっとクラストップ。常に5を維持している。
2階の窓から飛び降りるなんて造作も…ないこと…
窓から飛んで華麗に着地しようと決めたときにはもう遅かった。
「ど、どいてぇぇぇぇぇぇッ!!!!」
下に人がいることに失念していた私は思い切り、下にいた人物…一応友人である人の上に落下してしまった。
人が私の下敷きになったせいで、私にはケガはない。
「ま、ケガなかったからいいか。」
とりあえず体を起こそうとするが、下にひいていた人物に腕を掴まれてしまう。
「おいこら…人の上に落下しといて謝罪もなしか」