さようならの唄
ハンズは
少し成長し
子供になりました

でも
感情のないハンズと
誰も話そうとはしません

ハンズは毎日毎日
たださびれた町の
片隅の階段に腰かけていました

友達もいませんでした

なにより
ハンズ自身
何も感じないので

自分が1人の意味

友達の意味

話すと言う意味

全て
なにも
感じませんでした

ある夏の日

いつものように
階段に座るハンズの前に
子犬がちょこんと
座りました

次の日も
次の日も
次の日も

子犬はちょこんと
ハンズの前に
座りました

冬になり
誰も外で遊ぶ子が
いなくなっても
ハンズは
そこにいました

そして
子犬も

寒さでハンズの手は
しもやけのようになっていました

すると
子犬が突然ぴょんっと

ハンズの膝に
乗りました

子犬はハンズの冷たくなった手を
一生懸命自分の体温で暖めました

子犬は
ハンズが大好きでした

子犬は
毎日1人ぼっちで
寂しくて悲しくて
たまりませんでした

そしてハンズに出会いました

毎日毎日
階段にいるハンズ
そこに行けば
子犬は
1人ぼっちじゃなくなりました

ハンズは
何も言ってくれないけれど
1人ぼっちじゃなくなった子犬は
それだけで
十分でした

ハンズの手は
どんどん暖かくなりました

子犬がハンズを
見上げると

いつもの
無表情のハンズが
自分を
見下ろしていました

でも
一つだけ違ったのは

ハンズは
子犬を
その手でしっかりと
抱きしめていたのです

子犬は
嬉しくて嬉しくて
ハンズに思い切り
体を寄せました
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