ギルディラヴ~社長と誓う偽りの愛~
「そう考えると…俺は兄貴にお礼を言いたくなる…」

「・・・」

「俺は兄貴の事よりも十和子の事を大切に思っている…なんて…薄情はヤツなんだ…俺は…」


彼は自分をあざ笑った。


「兄貴が俺の元に来なければ…俺はずっと『BP』にいいように利用され、命を落としていたかもしれない…俺を救ってくれたのは紛れもなく兄貴だ。
俺は兄貴に感謝しなければいけないのに…兄貴と同じで十和子を愛してしまった。俺は罪深い男だ…」

「私だって…罪深い女だよ…諒平さん」

私だって最初は京平さんに心を惹かれながらも、諒平さんに愛してしまった。


二人の間で心を揺らしながらも、私は京平さんよりも諒平さんを見ていた。


二人は同じ顔なのに、私はずっと孤独に生きて来た諒平さんを選んでしまった。


< 145 / 155 >

この作品をシェア

pagetop