ギルディラヴ~社長と誓う偽りの愛~
受付嬢の案内で龍さんが私たちの居る社長室に入って来た。

彼と龍さんは向かい合わせに応接ソファに腰を下ろした。

「お嬢、お久しぶりです。お元気でしたか?」
私の思った通り相手は龍さんだった。
「龍さん…いつムショから・・・」

「先週の火曜日です…無事お務めを終え、仁科組に復帰しました」

龍さんは舎弟を救う為に謝って相手を殺してしまい、懲役十年の実刑判決を受けて、港南区にある横浜の刑務所に服役していた。

「お嬢と会うのは十年振りですね…お美しい大人の女性に成長し、龍は大変嬉しいですよ」

「ありがとう…龍さん」

強面で一見怖そうに見えるけど、私には優しかった。

龍さんは逮捕された時はショックでしばらく涙が止まらなかった。


「十和子に会いに来たと訊いたが…」

「組長の命令でお嬢を迎えに来ました・・・」

「えっ?」

「・・・白波京平さん…貴方は『黒龍』から目の敵をされている。我々仁科組も龍の血を引く者ですが…ウチにまで危害を及ぶのは何としても避けたい…だから…お嬢を守る為にこうして来ました…」


「・・・」

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