しーくれっとらぶ
『あたし帰るねっ。』



あたしは
慌てて立ち上がり、
バスの出口に
向かおうとした。


ガシッ―


その時、
後ろから龍に
腕を捕まれた。


「なぁ、今日夜会えへん?」

『え?』


「俺ら明日の朝に
もう帰らなあかんねん。
東京戻ったらまた
仕事で全然会えへんし、
唯とおりたいねん。」



『でも、事務所の人とか
マネージャーさんが
いるだろうし、
明日朝帰るなら、
夜は支度とかで
バタバタしてない??』




「大丈夫。
絶対大丈夫やから。」



龍がお願いするような目で見てくる。



『でも―』



あたしは
バレて龍の仕事に
支障が出るのが
嫌だった。


「会いたくないん…?」



あたしが迷っていると、龍が不安そうに聞いてくる。



『違うよっ。
あたしも龍に会いたいよ。


だけど、
龍の仕事の邪魔を
するのは嫌なの―…。』

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