しーくれっとらぶ
『うるさーいっ。陸がいないんでしょ。あたしには彼氏いるもんね』

「龍さんも大変だな、唯が彼女で」

「あーもう、んなことどうでもいいから、話聞け」



あたしたちのふざけた言い合いを止めたのは聖夜だった。

『え、まだ話あるの?』

「当たり前だろ。まだ全然話進んでねぇし」

「あたしたちね、一緒に住もうかなって思ってるの」


今度は梨華さんが話し始めた。


『同…棲ってこと』


「あぁ」


驚くあたしの言葉に聖夜が答えた。


同棲するってことは
2人で住むってことだよね…?


そしたら…

あたしと陸はどうなるの…?


あたし…
ここを出て行かなきゃ
いけないのかな…



そんな事を考えたら涙が出そうだった。



聖夜と梨華さんの結婚に反対しているわけじゃない。

むしろ大好きな梨華さんと聖夜と結ばれて嬉しい。


だけど…
あたしはここにいたかった。

わがままだけど…
ここから離れたくなかった。


聖夜というたった1人の家族を失いたくなかった…。


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