しーくれっとらぶ
『…っ…ありがとう、聖夜、梨華さん…』


あたしは涙を拭って笑った。

だけど、あたしの涙は止まらない。
でもね、あたしの涙は、不安の涙から嬉し涙になっていたんだ。


「まぁ、俺は1人暮らしでもよかったけどな」


隣では陸がそう言った。


「なに言ってるのよ。陸なんかに1人暮らしさせるわけないでしょ?朝も起きれないし、料理も出来ないくせに」


そんな陸を梨華さんはそう言って叩いた。

「痛ってぇな。まぁ、しょうがねぇよな、一緒に住んでやるよ」

「また生意気言ってー」

「うるせぇよ」

陸もなんだかんだ言って嬉しそうだった。


『あははっ』


あたしたちのいるリビングには穏やかな空気が流れていた。

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