しーくれっとらぶ
『あ、あれだよっ…!ほら、旅費…っ!やっぱりさ、龍だけに出してもらうのはよくないかなって思って…っ』

それも嘘ではないので、あたしはプレゼントのことは言いたくなかったからそう言った。


「で?本当は何なん」


だけど、龍の声は相変わらず冷たい。


『……』


あたしは何も言わなかった。
プレゼントのことだけは、まだ言いたくない。
龍をびっくりさせたいんだ。


「もうええわ。こっちは電話出んからむっちゃ心配してたんに、隠れてバイトしとったとか最悪やわ」

『ごめん……』


龍はあたしに何かあったのかもしれないって心配して何度も電話してくれたんだ……。
仕事が忙しいはずなのに……。
なのにあたしはバイトの理由を言えない…。
あたしは心の中で何度も"ごめんね…"を繰り返した。

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