しーくれっとらぶ
外に出た瞬間、あたしの体を冷たい風が突き刺す。
あたしは1つ身震いをして玄関前の階段を1歩1歩降りた。

玄関の前の道には龍の車が停めてある。
その車に寄り掛かって煙草を吸う龍の姿。
変装のためかサングラスをかけている。
そんな龍が格好よくて、つい立ち止まって見入ってしまう。


「おはよぉ」


あたしに気付いた龍は、煙草の火を消してあたしの所に来た。


『おはよ』


あたしは寒さでかじかむ手を吐息で暖めながら言った。


「やぱ冷えるなぁ」

『そうだね』

「荷物かして」


龍はそう言ってあたしのキャリーバッグを持ち、後部座席に乗せる。


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