しーくれっとらぶ
家に着くとあたしはそのまま自分の部屋に行こうと思って階段に向かった。


「唯ちゃん!?ずぶ濡れじゃない!」


その時、あたしが帰ってきたことに気がついた梨華さんがリビングから顔を出して、あたしを呼び止めた。

そしてずぶ濡れのあたしを見て慌ててバスタオルを取ってきた。


「歩いてきたの!?」


梨華さんが急いであたしの髪や体を拭く。

梨華さんの問いかけにあたしは黙って首を横に振った。

『バス…。』

「龍君に送ってもらわなかったの?」

『…っ…。』


梨華さんの口から龍の名前が出た途端あたしの目から涙が一筋こぼれた。


「唯、ちゃん…?」

『龍と…別れたの……っ。』


突然泣き出すあたしを見て戸惑う梨華さんにあたしは言った。

梨華さんは何も言わずにまたあたしの髪を拭く。


『振られちゃったの……。
もう好きじゃないんだって………。
もう無理なんだって……。』


聞かれてもいないのにあたしの口からは今日龍から言われた言葉が次々と出てくる。

















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