しーくれっとらぶ
「それだけなん?」

『…他にも…龍がまだあたしを好き、とか……そういうこと言われた…』


い、言っちゃった……っ。
あたしは息を止めて下を向いた。
だけど龍は何も言ってこない。
やっぱりそれは慎君の勘違いだったんだね。
期待してなんかしなきゃよかった。
余計に悲しいし恥ずかしかった。


『…慎君何勘違いしてたのかな…っ。そんなのありえないのにね…っ』


だから早口でそう言ったんだ。

だけどね、龍の表情を見たら本当なのかなって思っちゃう。
右手で口元を押さえて真っ赤な顔を逸らされたら、期待しちゃうんだよ。

それにね…気付いたんだ。
龍がその手の薬指にあたしとペアの指輪をつけていることに。


『龍……?』


あたしが名前を呼んでも龍はこっちを見ない。

あたしはどうすればいいのかわからなくてしばらく黙っていた。










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