しーくれっとらぶ
そこにいたのは知らない男。

『…っ…』


男は怖くて体が動かないあたしを引っ張って、近くに停めてあるワゴン車に乗せようとあたしを連れて行く。


このまま逃げないと、あたしはまた冬に体験した恐怖を味わわなければいけない。


あたしはそう思ったけど、足が震えて動けない。



ガラガラ…━


『!!』


ワゴン車のドアが中から開けられた。



あたしはその音でハッと我に返り、あたしの腕を掴んでいた男の手からスルリと抜けて家に向かって走った。



しかし、恐怖で足がもつれて速く走れない。



そんなあたしは簡単に男に捕まった。


ボコッ…━


そしてあたしは男からお腹を殴られた。


『…っう…』


あまりの痛さにあたしはその場に倒れ込んだ。


「次逃げようとしたらこんだけじゃ済まさねぇからな。」


男はそう言ってあたしの体を引きずるようにしてワゴン車の中に押し込んだ。




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