しーくれっとらぶ
シャワーを浴び終わると、あたしはリビングに行った。



リビングでは聖夜が頭を抱え込むようにしてソファーに座っていた。


「唯……?」


あたしが入ってきたことに気が付くと、聖夜は顔を上げた。
聖夜、泣いてたの……?

微かに涙の跡が残っていた。



「…おいで。
傷、消毒しねぇと。」


聖夜はそう言ってあたしに手招きする。


『…大丈夫だよ……』


あたしがそう答えても、痕が残るから、と消毒して、絆には絆創膏を貼ってくれた。



「…ごめんな……何もしてやれなくて…。
助けてやれなくてごめん……。」

聖夜はあたしの傷を見て謝ってきた。


『…謝らないでよ……。
聖夜は何も悪くないじゃん…っ…』



聖夜はまた泣きそうになる
あたしをそっと抱き締める。



「怖かったな…」



聖夜の声が震えていたような気がした。


聖夜も辛いの……?

あたしと同じように苦しいの……?


聖夜のその一言であたしの堪えていた涙がどんどん溢れ出てきた。




『…ふぇっ…うぅ…


どう…して…なの…っ?』


「唯……?」


『どうしてあたしばっかりなの……!?


なんで、あたしだけ辛い思いしなきゃいけないのっ……!?


…ヒック…もうやだよ…あたしばっかり…っ…。


もう…嫌ぁっ………っ』


あたしは聖夜の腕の中で声を上げて泣いた。



どうしてあたしばっかり苦しまなきゃいけないんだろう………。


いつになったらあたしは幸せになれるの………?



あたしは辛くて苦しくて、どん底に落とされたみたいだった……。




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