シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
act6.病み
数日経って、
舞台の練習には新しいファントム役の男の子が来るようになった。
オーディションで次点だった男の子だ。
涼介はそのまま、ラウル役を演じることになった。
「長島、欝だってよ」
どこからか、そんな噂話が聞こえてきた。
あたしは、ちょっと薄情かな、と思いつつ。
何の挨拶もなしに降板した長島くんに、少し腹が立っていたので。
特に、連絡をとることもしなかった。
『愚かな若造め。
クリスティーヌは、私のものだ』
『天使様……私を連れて行って』
『クリスティーヌ!誰かそこにいるのか!?
クリスティーヌ!!
まさか……オペラ座の怪人……ファントムか?』
「カット。
ファントム、もっと不気味に、ラウルへの嫉妬を込めて。
クリスティーヌはまぁ良し。
ラウル、顔に緊張感が足りない」
「ひで……っ」
「あいつ、言われてやんの!」
数日経てば、新しい相手もだんだんなじんできて。
稽古場には、笑いが戻ってきた。
もう、季節は6月。
半袖の制服にもやっと慣れてきたある日。
あたしは、実里に呼び出された。