シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
声も出ないあたしに、幽霊は囁く。
『……会わない方がいい……』
「……!?」
『行かない方がいい……』
「……ちぃのところに行くなって、そう言うの?」
あたしは思い切って、そう聞いてみた。
幽霊は相変わらず悲しそうな顔をしている。
やがて、こくりとうなずいた。
初めて、しっかりとその顔を見た。
20代前半のその顔は、造りは綺麗なのに、表情のせいか暗く沈んでいた。
服は質素なシャツに、膝下まで隠れるスカート。
完全に、平成の20代ではない。
「どうして?」
『…………』
「ちぃに会っちゃいけないの?
どうして?」
『引きずられるから……彼の闇に』
幽霊の声はやがて、つぶやきから、確実にあたしに話かける声へと変わる。
『あなたが……つらくなるから……』
つらくなる?
彼の闇?
引きずられる?
あたしに理解できる言葉は、そこに何一つなかった。