シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
これはいわゆる、抱きしめられている状態?
しかし、高鳴る心臓を抑えるのは、やはりちぃに対する心配だった。
「ちぃ……大丈夫?」
「うん。すごい落ち着く」
「そうじゃなくて……」
いったい今のは何の薬だったの?
ちぃはどこが悪いの?
そんな質問をするのもためらうほど。
ちぃは小さな子供みたいに、あたしに全身を預けていた。
首筋にかかる息が、くすぐったい。
「どんな薬より、これが一番効く気がする」
「……ばか。
薬飲んだから落ち着いたんでしょ?」
「あぁ……ごめんね、俺、ちょっと頭がおかしいから」
「……!!」
そう言うちぃの肩越しに。
開いていたドアの向こう、台所へ続く廊下を。
すっと、影が通り過ぎたのが見えた。
ちらっとしか見えなかったけど、あれは間違いなく……
お亡くなりになってる人。
幽霊だ。
しかも、若い男の……。