シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
ジャージに着替えて、講堂に移動する。
オーディションは、女子からだ。
クラスごとで舞台袖に移ると、客席からザワザワという声が聞こえてきた。
デザイン科の学生や、オーディションを受けない生徒の声だ。
やがて、オーディションが始まった。
今年の演目は、“オペラ座の怪人”。
大昔に書かれた小説が原作の、有名なミュージカルだ。
「緊張してきた……」
「大丈夫だよ、ひなたはうまいもん」
問題はあたしだよぉ、と恵は泣き真似をした。
可愛らしいその姿に、心が和んだと思ったんだけど……。
「無駄だから、帰ったら?
ヒロインは、私がもらうから」
突然後ろから、声をかけられた。
実里だ。
両親が業界人。
七光りでデビューしたくせに、クラスで威張りくさっている。
あたしを、たかが演歌歌手の娘だと、バカにしてるんだ。
しかし、その割には仕事がぱっとしない。