シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
息を吸う音が聞こえ、あのいやらしい高音が響きだす。
ムダに溜めた後で出す、甲高い音。
そう、声の高さは申し分ないが、
実里の歌には決定的に何かが足りない。
あたしはそう思っていた。
その時……。
突然、めまいがした。
ぐらりと揺れる身体を、恵が支える。
「どうしたの?」
「わからない……気持悪い。
あいつの声のせいかな……」
ゆらゆらと陽炎のように揺らぐ視界で、舞台を見る。
そこで、声を失った。
実里の横に、
今朝、鏡の中にいた女の霊がいたのだ。
何なの……?
どうして、あの人がこんなところに現れるの?
何かを伝えようとしているの?
恵は、舞台を凝視して動かない私を心配してのぞきこむ。
実里の歌が終わろうとしている。
一際高い声が発された時……。
頭上で、キイ、と金属がこすれるような音が聞こえた。