シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
その後すぐ教師が安全確認を済ませ、オーディションは再開された。
けっきょく、ワイヤーの老朽化ということになったらしい。
実里は途中退場した。
ざわざわとうるさい講堂で、次に歌うのは……。
はい、あたしです……。
なんて運が悪いの?!
「何で中止しないのかな?」
「日程が詰まってるからでしょ。
大丈夫、行ってくるよ……」
不満げな恵に背を向け、あたしは舞台に上がった。
もう、どうして心臓がバックバックいっているのかわからない。
単に緊張しているのか、今の現象に対する恐怖なのか。
どっちにしても、やるしかない。
怖がっている余裕はないんだ。
この舞台に、私の女優への夢がかかっているんだから。
お願い、幽霊さん。
邪魔、しないでね。