シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
act2.不思議な人
オーディションが全部終わらないうち、
あたしは講堂から出た。
「ひなた?
どこ行くの?」
外の廊下で順番待ちをしている涼介に、声をかけられた。
「あー……トイレ!
緊張しちゃってさ」
「おー、トイレにいっといれ~」
「……ジャーねっ!」
あたしは寒いダジャレを返しながら、講堂の観客席の入口に急いだ。
さっき見えた彼が、ここから出て行くのが舞台から見えたから。
誰だっけ、絶対知ってるのに!
あたしは彼に、会わなきゃいけないのに!
そうして全力で走ったけど、彼はどこにもいなかった。
観客席も、探してみたけど。
まさか……本当に、音楽の天使?
それとも、学園の怪人?
いやいや、制服着てたし!
「だれだっけ~
も~、思いだせない!」
あたしは、あきらめて皆の元へ戻った。
ここの生徒みたいだもん。
きっと、すぐ会えるよね……。