シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
指から、涼介の高めの体温が伝わってくる。
それはあたしの心臓を、甘く揺らした。
ノドの奥で何かがつっかえるような、感覚。
出てこようとしてるのは、あたしの素直な思いかもしれなかった。
逆告白とか、アリなのかな……。
お互いの気持ちはわかってるし……。
「いい気にならないでよね」
幸せでお腹いっぱいのあたしに、
突然冷や水が浴びせられた。
振り向くと、実里とその取り巻きが、
『フンッ!!』という顔で去っていった。
「こえー……
リアルにカルロッタじゃん」
涼介が聞こえないようにつぶやく。
そう、実里は、本当に、
クリスティーヌを目の敵にする、カルロッタ役に決まっていた。
途中退場したのにメインキャストになるなんて、
やはりあの高い歌声が、評価されたんだ。
……負けてられない。
誰にも文句を言われないヒロインを演じなきゃ。
メラメラと炎のついた闘志を込め、
実里の背中を見送っていたら。
廊下の向こうに。
彼の姿が見えた。