シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
ダークブラウンの髪は、すぐ廊下の角を曲がって、見えなくなってしまう。
その先は、昇降口。
帰っちゃう……。
「涼介、ごめん。
今日は早く帰らなきゃ」
「えっ、おい、ひな……」
「ごめん!また明日!」
あたしは涼介の手をパッと離して、昇降口に急いだ。
もともと帰るつもりだったから、
ジャージが入った重たいリュックを背負ったまま。
走った。
「待って……!」
スニーカーを履き、外に出ると。
彼は、その長い足ですでに校門を出ようとしていた。
あたしはその後を、追いかける。
彼は駅とは逆の方向に歩き始めた。
猛ダッシュしたおかげで、あと3mほどで、追いつける。
そこまで距離をつめて、あたしは気づいた。
……何て、声をかけたらいいんだろう?
…………。
よし、思いつくまで、彼を尾行してやろう。
ゴム底のスニーカーを履いてきたのは、きっと運命だ。
あたしは足音を立てないように、その背中を追跡していった。