シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
彼の手が、ホースから離れる。
しかしホースは、そのまま……
彼の胸の前で、空中浮遊していた。
その先から、水がびゅろ、とこぼれ出す。
彼が、手の平を、まるで指揮者のように動かすと……。
出た水は、綺麗な噴水形になって。
高く空にあがり。
そこで、大小様々な粒になって。
庭じゅうに、降り注いだ。
草木が、夕日をうけてキラキラと輝きだす。
水の粒は、彼の手の平の上でくるくる踊ったり、
肩や頭にぽんぽんとはねる。
しかし彼は全く、濡れていなかった。
それは、とても不思議な光景で……。
足は動かないのに、あたしの頭は。
その光景を、受け入れていた。
そのまま、水と光のダンスと、
指揮者である彼を、ぼんやり見つめていた。
の、だが……。
「!!」
不意に、門の方を見た彼と、目があってしまった。