シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
ホースが地面に横たわり、水の勢いでドテバタと跳ねる。
彼は一瞬そちらに気をとられ、蛇口をひねりに行った。
あたしは、そのすきに……
逃げ出す事が、できなかった。
見てはいけないものを、見てしまったのに。
あまりの綺麗さに、逃げるのを忘れていた。
彼も慌てるでもなく、ゆっくりした動作で、
あたしに近づいた。
そして、その形の良い唇が開く。
「ねぇ」
「はいっ。
あの、大丈夫!
誰にも言わないから!」
「まだ、何も言ってないよ」
彼の表情は、
警戒しているふうでも、威嚇しているふうでもなかった。
全然別のものが、その二重の目にあった。
「ひなた……」
「えっ」
驚いた。
彼は突然、あたしの名前を呼んだんだ。
その綺麗な顔は儚い、寂しげな視線を送ってくる。
どくん、と胸が高鳴った。
あたしは、彼を知っている……。