シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】


ぐほっ。


あたしは思わず、むせてしまった。


隣では恵が、真っ赤な顔をしている。



「白くて、チークしてないのに頬がピンク。

白雪姫みたい」


「そ、そう?」


「うん」


「ありがとう……」



千影くんは、爪のさきほども照れていない。


自然な笑顔で、そんな事を言った。


あたしは姫なんかじゃないけど、

この人は完全に……天然の王子だ。


照れてしまってどうしようもないあたしは、

むりやり話題を変えた。



「舞台見てたの?」


「うん。一応……

フットライトとか、ピンスポとか、

何をどこに置くか、参考になるから」


「へー。えらいね」


「ひなたちゃん、興味なさすぎでしょ、

その答え方」



もう終わったから、と、

千影くんは笑いながらその場を去った。


まだわずかに残っていた生徒達が、彼を見送る。


実里もその中にいた。


彼女の横には、ファントム役の男の子がいて、

彼もぼんやりと千影を見つめていた。



自分でも知らず知らずのうちに、視線を集めてしまう。


彼はそういう人だった。



< 45 / 245 >

この作品をシェア

pagetop