シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
ぐほっ。
あたしは思わず、むせてしまった。
隣では恵が、真っ赤な顔をしている。
「白くて、チークしてないのに頬がピンク。
白雪姫みたい」
「そ、そう?」
「うん」
「ありがとう……」
千影くんは、爪のさきほども照れていない。
自然な笑顔で、そんな事を言った。
あたしは姫なんかじゃないけど、
この人は完全に……天然の王子だ。
照れてしまってどうしようもないあたしは、
むりやり話題を変えた。
「舞台見てたの?」
「うん。一応……
フットライトとか、ピンスポとか、
何をどこに置くか、参考になるから」
「へー。えらいね」
「ひなたちゃん、興味なさすぎでしょ、
その答え方」
もう終わったから、と、
千影くんは笑いながらその場を去った。
まだわずかに残っていた生徒達が、彼を見送る。
実里もその中にいた。
彼女の横には、ファントム役の男の子がいて、
彼もぼんやりと千影を見つめていた。
自分でも知らず知らずのうちに、視線を集めてしまう。
彼はそういう人だった。