シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
怖くて地面ばかり見ていたあたしは、
思わず顔を上げる。
だって、その靴は……。
男の子達の汚いスニーカーとは違ったから。
黒いブーツにあたったケータイを、その主は拾いあげる。
ダークブラウンの髪が、さらりと音を立てるように流れた。
「千影くん……!!」
「あれ……もしかして、ピンチ?」
「もしかしなくても、そうだよっ!
お願い、警察呼んで!」
ふむ、と息をもらしたその人は、
佐藤千影、その人だった。
「誰だ、お前」
「俺?通りすがり」
「じゃあ、さっさと通りすがれよ!
早く消えろ!」
「そーいうわけには、いかないでしょ」
千影くんは、あたしのケータイから電話をかけるのかと思いきや……
それを、胸ポケットにしまってしまった。