シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
act5.過去の栄光


「あうっ!」


やってしまった……


何て、お約束的な……



あたしはもういくつ目かの切り傷を、自分で手当てした。


そう。


無謀にも、自分でお弁当なんか作ろうとして……


いつもは購買か食堂なんだけど。


千影くんに……栄養とって欲しいと思って。


あと、助けてくれたお礼に。


でも。


無理でした!!


今まで何もやってこなかったのが、アダになった。


ちゃんとできたのは、カイワレ大根をハムで巻いたもののみ……


唐揚げを作ろうと鶏肉と格闘したあげく、

皮に包丁を入れたら、滑って指が傷ついた。


そんな失敗を繰り返し……


「もうやーめたっ!!」


あたしは材料を冷蔵庫に戻した。


もう学校に向かわなきゃ、遅刻しちゃう。


あぁ……


これが上手にできたら、

千影くんとちゃんと顔を合わせられると思ったのに。


あの、事故チューの思い出を、違う思い出で上塗りしなきゃ。







< 94 / 245 >

この作品をシェア

pagetop