シークレット・ガーデン ~禁断のキス~【更新停止中】
act5.過去の栄光
「あうっ!」
やってしまった……
何て、お約束的な……
あたしはもういくつ目かの切り傷を、自分で手当てした。
そう。
無謀にも、自分でお弁当なんか作ろうとして……
いつもは購買か食堂なんだけど。
千影くんに……栄養とって欲しいと思って。
あと、助けてくれたお礼に。
でも。
無理でした!!
今まで何もやってこなかったのが、アダになった。
ちゃんとできたのは、カイワレ大根をハムで巻いたもののみ……
唐揚げを作ろうと鶏肉と格闘したあげく、
皮に包丁を入れたら、滑って指が傷ついた。
そんな失敗を繰り返し……
「もうやーめたっ!!」
あたしは材料を冷蔵庫に戻した。
もう学校に向かわなきゃ、遅刻しちゃう。
あぁ……
これが上手にできたら、
千影くんとちゃんと顔を合わせられると思ったのに。
あの、事故チューの思い出を、違う思い出で上塗りしなきゃ。